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2018.08.31

2018年夏のBLOF理論入門講座 

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今年の夏もBLOF理論入門講座を開催しました。

「BLOF理論」のBLOFとは「Bio Logical Farming」の略で、日本語に訳すと、生態系調和型農業理論ということになります。

BLOF理論に基づく農業は、物理、化学、植物生理等各方面の知識をベースに有機栽培を科学的に考えて実践する農業で、高品質多収穫を実現できます。

BLOF理論に基づく栽培の結果が、明らかに突出して良いため、東京大学や理化学研究所も関心を持って実証実験を進めており、その結果、今までの学説を覆す新しい科学的事実が次々と明らかになっています。

そんなわけで、BLOF理論は最先端の有機栽培理論ですが、実は、戦前の日本の素晴らしい有機栽培の仕組みを科学的に解明して、それを再現しているものでもあります。

 

さて。

この夏のBLOF理論入門講座は、8/11・12・25・26の4日間で開催しました。

カリキュラムをザックリ言うと、初日は概論、2日目は太陽熱養生処理と堆肥や肥料について、3日目は土壌分析、4日目は施肥設計です。

 

ちなみに、堆肥と有機肥料の違いについてのこの整理の仕方↑は、ホント、分かりやすくてシックリきます。

「堆肥は有機物を完熟になるまで発酵させたもの、肥料は発酵を途中で止めたもの」という、よく耳にする定義が頭の中にインプットされていると、BLOF理論を勉強して「中熟堆肥」なるものの存在を知ると、もうパニックですよね。中熟堆肥は肥料なのか??と。

確かに「●●●●肥料」かなとは思いますが・・・。

 

BLOF理論を勉強していくと、今まで見聞きしてきた「常識」をひっくり返されることが多く、持っていた知識や癖の修正を重ねていくことになります。でも、そのおかげで、グーッと結果が良くなってきます。

 

話は戻って、土壌分析はこんな感じ。

地表近くから地下数十センチまでの土を均等に採土する方法を全員で体験して、グループに分かれて分析を行いました。

どんな成分がどれだけ土に残っているかを明らかにするのが土壌分析です。アンモニア態窒素、硝酸態窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンを分析します。

講座では、まず、同じ土を全グループで分析して、分析結果の数値の差異を確認しました。

これで大幅に数値が違う場合は、何かを間違えているわけです。

土を溶かしだした抽出液の量が違っているのか、試薬の量が違っているのか・・。

こういう勉強会で一斉にやると、いい感じで間違いがあって(間違いに気づくので)、勉強になります。

全グループが同じ土を分析して、失敗の要因を確認した後は、各自持参した自分の畑の土を分析しました。

かなりクセのある土を持ってきた方もいらっしゃって、土質改善のためのお金のかけ方や地主との契約の仕方について(畑が良くなると返却を求める地主が少なからずいるため)まで、アドバイスは広がりました。他の方へのアドバイスも、ナルホドナルホドです。

 

話が少し横道に逸れますが・・・土壌分析は、今の農業では必須だと思います。

同じエリアの土でも、栽培履歴によって土に残っている成分がだいぶ違ってきます。戦後、土中成分のことを考えずに酷使し続けてきた農地は、そろそろ大きく成分バランスを崩している頃です。多すぎるものは、ホントに多すぎて、少なすぎるものはすっかり枯渇している感じ。

たとえば、関東ローム層は、一般的にリン酸が少なく、長い間耕作放棄地だった畑はリン酸の値がゼロに近かったりしますが、長年鶏糞をガッツリ入れ続けてきた畑は、リン酸の値は飛び抜けて多かったりします。光合成に必須のマグネシウムは、入れてない人はすごく少ないです。石灰は、耐病性向上のためには、多めに入れた方が良いのですが、大量に入れるとpHが上がり過ぎるので、入れ過ぎないよう最大限入れる・・・みたいな感じになります。ちなみに石灰は、勉強していくと、裏ワザを使ってかなりの量の石灰を入れることができるようになるし、pHを下げる土づくりが出来たりするので、土づくりは奥深いです。

そんな感じで、分析した上で施肥設計すると、肥料の入れ方がガラリと変わります。どんな堆肥、どんな肥料をどのくらい入れるかは、いわば野菜づくりのレシピで、野菜の味を決める決定的な要素となります。同じ品種を同じエリアで栽培しても、栽培する人によって味や日持ち、栄養価等の品質が全然違ってきますので、味や品質での差異化が可能です。

そして、施肥設計。

パソコンは農具。BLOF理論では、エクセルが必須です。

・・といっても、文字入力の仕方とかシートのコピーの仕方とか、そのくらいの知識で十分ですのでご安心を。

施肥設計は、使う肥料の特徴を理解して実践することが大事です。同じカテゴリーの堆肥・肥料でも、成分や効き方がそれぞれ違うので、その特徴を活かした施肥設計をできると、たとえば「ゆっくり少しずつ収穫したい」「糖度を上げたい」「味は二の次で早く収穫したい」「冬と夏で味の差を出さずできるだけ同じ品質で出荷したい」とか、イメージする品質での栽培を実現できるようになります。

またまた横道に逸れますが、堆肥・肥料を勉強していくと、ああー、農業は良い堆肥と良い肥料と巡り合うことが大事だなと思うと同時に、ネガティブなワタシは、この堆肥屋さん、肥料屋さんがなくなったら、ワタシは終わりだー!と思ったりします。なので、万が一そうなっても、代替の製品を探すことのできる知識を身に付けておかなきゃ・・・と思っています。施肥設計と肥料の勉強は、セットですね。

 

そんな感じの施肥設計。

施肥設計タイムの最後には、小祝先生が、一人一人の施肥設計内容をチェックするという、なんとも豪華な時間となりました。

 

それと・・・。

BLOF理論の重要な要素の一つである「太陽熱養生処理」は、キーポイントとなる水分量を全員に確認してもらい、仕込み後2週間経過した日に全員が養生処理済の畝に棒を刺して、土の柔らかさを手ごたえで確認しました。

なお、今回は、農業実践教室の皆さんと一緒に作った自家製堆肥を入れた畝の養生処理結果も確認していただきました。

棒は、ゆっくり刺していくと、静かに滑らかに刺さっていきました♪

養生処理は成功!

自家製堆肥が効いたようです。

ちなみに、自家製堆肥は、「BLOF理論実践講座」で学んだことをそのまま実践して作ったものです。堆肥の成分分析結果を見ても、こうあってほしいという条件をちゃんとクリアしていて、良い結果が出ていました。嬉しい!!

 

BLOF理論を学ぶようになって、土や堆肥、植物生理や微生物についての理解がかなり進み(もちろんまだたくさん学ぶべきことが残っていますが!)、以前に比べると無農薬での野菜作りはだいぶやり易くなり、病気、そして虫食い被害は激減しました。

そうそう、無農薬だから虫が食うのは当たり前だし、虫が食うんだから安全なんだ!!美味しいんだ!というのは、間違った認識であり、安全性と美味しさについては、むしろ逆です。BLOF理論では、その辺のことも仕組みから理解していくことができます。

 

というわけで、BLOF理論入門講座。

次回は、2019年の2/2&2/3&3/9&3/10の4日間で行います。

既にBLOF理論を実践されている方向けのBLOF理論実践講座は、もう間もなく9/8(土)に行います。

一緒に勉強しましょう。

詳細やお申込みは、弊社webサイトでお願します!

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