2018.06.11
土壌分析をして、必要な肥料を必要な量だけ入れる
先週の土曜日は、農業実践教室受講生・卒業生向けの特別企画講座「土壌分析の会」の日。
受講生・卒業生の畑の土壌分析を行いました。
土壌分析は、畑の土を溶液に溶かして、その土が溶けた上澄み液を試薬と反応させて、反応の結果出た色の濃淡で土中の養分量を計測するものです。
計測する養分は、土のpHの他、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンです。
分析で特に重視しているのが、各種ミネラルです。
一つ一つの養分名を挙げていくと、とても専門的で難しそうに思えるかもしれませんが、たとえば、リン酸やカリウムは、ホームセンターで売っている鶏糞系の肥料に入っていますし、カルシウムは、石灰の肥料を入れることで、土に入れることができます。マグネシウムは、別名「苦土」と呼ばれているもので、マグネシウムの働きをご存知の方は、「苦土石灰」で入れている方も多いのではないかと思います。
鉄、マンガンについては、一般の家庭菜園ではなかなか耳にしないでしょうから、そういう意味では専門的なのですが、微量要素といって、量はとても少ないのですが、とても重要な養分です。というのも、たとえば、鉄は、根の呼吸に深く関与しているので(念のため・・・根は呼吸しながら養分を吸っています)、鉄不足だと養分がうまく吸えず、ミネラル肥料を色々と入れていても効かないから結果として不調になるし、鉄が不足すると、根は地下深く入ってほしいところが、上根と言って根が地表近くで平ら方向に広がっちゃいます。こうなると、干ばつにはかなり弱くなりますよね。
【農業実践教室のハクサイ:鉄はガッツリ入れているので、まっすぐ伸びた根】
去年の秋は、あんなに悪天候だったにも関わらず、病気がゼロで、良い白菜がたくさん収穫できました。
【鉄を入れない土で育って上根になっている根】
マンガンが不足すると光合成に問題が出てきて・・・・たとえばトマト等だと結果として葉カビが発生しやすくなったりします。
一方、石灰で入れていくカルシウムは、鉄、マンガンと違って、入れる量はそれなりに多いです。ただ、カルシウムは、畑によって&前作によって、土の中に残存している量がホントに違うので、これも適正な量を入れるためには、ちゃんと残存量を調べることが必要です。ちなみに、石灰は細胞を締める役割があり、耐病性UPにつながる重要な成分ですので、できるだけたくさん入れたいところです。
土壌分析は、その結果に基づいて入れる肥料を決定する「施肥設計」とセットになるのですが、私は、この土壌分析と施肥設計をできるようになってから、無農薬栽培でも病気も虫害も大幅に減り、美味しくて良いものができるようになりました。
そして、野菜づくりがうんとラクになりました。肥料を入れる量を確信を持ってできるというのは、心配性なワタシにとっては、精神衛生上非常に良いですし、結果を確認して改善する目安を立てられるので、万が一失敗したとしても、向上あるのみですしね。
狭いエリアで多品目を栽培する家庭菜園の場合、土壌分析は、ある意味プロよりヤヤコシイです。完璧を目指すと心が折れるので、栽培区画を肥料投入の仕方によって分ける等工夫しつつ、ある程度目をつむって妥協した分析にせざるを得ませんが、それでも、やってみると効果があります。教室の生徒さんたちも、今回のような土壌分析の会に参加して、ミネラルを必要量入れた方は「土壌分析してミネラルを入れたら、今までに比べてすごく良くなった!」と・・・嬉しいことに、全員がおっしゃっています。
次回の農業実践教室での土壌分析の会は、2月頃、来年の春夏作向けの土づくりを前提に行います。受講生、卒業生の皆さん、良かったら定期的に・・・たまには(笑)、分析しましょう!